2022年に劇場公開し、その奇抜なストーリーと不思議な世界観で瞬く間に話題となった本作品。ここでは、ストーリーのネタバレを中心に見どころを紹介していきます。
『LAMB/ラム』のあらすじ
羊舎を営む夫婦マリアとイングヴァルに、ある日特別な出来事が起こりました。彼らの牧羊が出産した子羊は、他の子羊たちとは異なり、その体が人間のもので、頭が羊だったのです。夫婦はこの特別な子羊に”アダ”という名前を付け、亡くした娘の名前と同じように育て始めました。
作品情報
R15+指定
劇場公開日:2022年9月23日
上映時間:106分
製作国:アイスランド・スウェーデン・ポーランド合作
配給:クロックワークス
監督:バルディミール・ヨハンソン
出演者
ノオミ・ラパス
ヒルミル・スナイル・グドゥナソン
ビョルン・フリーヌル・ハラルドソン
イングヴァール・E・シーグルソン
どこで見れる?
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サービス名 | 本作の配信 | 月額料金 |
Netflix | × | ¥790〜 |
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『LAMB/ラム』の評価・評判
ホラー要素は薄め。じんわりとした不気味な世界観を楽しめる
おすすめ度:★★★★☆ ホラー度:★★☆☆☆ 誰とみる?:友達や1人がおすすめ
見る時に注意!
・性的描写あり
・動物が可哀想なシーンあり
ホラー映画によくあるビックリシーンやスプラッターはほとんど(というか全く)ありません。自分に置き換えたら怖い話だな…というじわじわとした不気味が演出されたストーリーでした。
ストーリー(ネタバレあり)
『LAMB/ラム』は三章に分かれて順番に上映されます。
一章
羊舎を営む夫婦であるマリアとイングヴァル。ある日出産した牧羊を取り上げると、他の子羊たちとは全く異なる”何か”が生まれました。”何か”の体は人間であり、頭が羊だったのです。
自分たちの娘を亡くした過去をもつ夫婦は、その”何か”に亡き娘の名前と同じ”アダ”と名付け、子供のように育て始めます。
ある日マリアが外出先から戻ると、寝かせていたアダの姿が消えていました。夫婦で必死に探し回ると、アダを産み落とした母羊が連れ去ろうとしていたところを発見し、2人は急いで家へ連れ戻しました。
二章
連れ戻した後も、アダがいる部屋の窓の外で鳴き声を出し続ける母羊。夜も雨の日もそれは続きます。そしてアダを取られてしまうと不安になったマリアは、ついに母羊を銃で撃ち、埋めてしまいます。さらに、夫婦の元にやってきたイングヴァルの弟・ペートゥルが、偶然その現場を見てしまうのでした。
ペートゥルはもちろん、アダの存在に驚きました。しかしイングヴァルはただ「何も口出しするな」と伝えます。またペートゥルは、マリアに(兄の妻であるにも関わらず)欲情していました。イングヴァルがいない隙に近寄ろうとするも、軽くあしらわれてしまいます。
アダの存在を不審に思うペートゥルは、夫婦が寝ている隙にアダを外に連れ出し、銃で撃とうとします。しかし未遂に終わり、ペートゥルがアダを殺めることはありませんでした。それどころかマリアが目を覚ますと、仲睦まじくカウチで添い寝をしているペートゥルとアダの姿がありました。
三章
その日からペートゥルとアダの関係は変わり、一緒に釣りに行くなどペートゥルは好意的に接しました。アダが生まれるまで冷め切っていた夫婦の関係も改善し、しばらくは三人で楽しく過ごします。
ある日、酔ったペートゥルはマリアに、母羊を撃ったことを脅しに使い再度関係を持ちかけます。マリアはまた、ペートゥルを上手くあしらい回避するのでした。
次の日の朝、マリアはペートゥルを呼び出し、イングヴァルが寝ている間に二人で外に出ました。これ以上はよくないと、ペートゥルに家を去るよう伝え、ペートゥルもそれに応じ、バスに乗って帰っていきました。起床したイングヴァルはアダと一緒に車の修理に出かけ、魚網を見に行っていました。その時、イングヴァルは突如何者かに襲われてしまいます。それは、羊のような外見をした二足歩行の”何か”で、まるでアダと同じような見た目の生き物だったのです。
その”何か”は、怒りでいっぱいになったような顔をしてイングヴァルを見つめています。その後、アダの手を引っ張り連れ去ってしまいました。
一方、家に帰りイングヴァルを探すマリア。突如、外で鳴り響く銃声を聞き、マリアは急いでイングヴァルを探しに出ましたが、イングヴァルはすでに絶命していました。
『LAMB/ラム』の見どころ
考察好きにはたまらない。見る人によって解釈が分かれるストーリーとディテール
『LAMB/ラム』では上記に記述したストーリーを軸にしながら、意味深なシーンが多く描写されています。監督自身も「見た人に解釈を委ねたい」と言っている通り、見る人と知識度によって解釈の仕方がかなり変わってくる映画だと感じました。
おそらくはキリスト教とギリシア神話がベースになっているのですが、それ以外にも「家畜」と「人間」の分け目がこれ見よがしに描かれていたところが印象的でした。(冒頭で生まれた子羊に対する対応とアダへの対応が全く違うなど)
個人的に最後の”何か”は悪魔なのかなと思いましたが、調べていくうちに違う解釈をもつ方も多くいて興味深かかったです。
監督の”羊愛”が満載
この映画の魅力の一つはなんと言ってもアダの可愛らしさだと思います。不気味で不可解なストーリーとは裏腹に、シャイで穏やかに成長していくアダ。アダの風貌は、もちろん不気味と言えばそうなんですが、見慣れていくうちに「これはハートフルファミリー映画なのでは?」と錯覚するほどの愛嬌いっぱいの姿が演出されています。
羊舎にいるいっぱいの羊とアダのどちらの撮り方にも、監督の「羊はこんなに可愛いんだぞ!」という思いがこもっていたように感じました(笑)
考察・感想
本編のストーリーの元になっているだろうキリスト教やギリシア神話の知識がなさすぎるため、考察は割愛させてください…。ここら辺に詳しくなりたいと思わせてくれる、興味深い映画でした。
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